結婚相談 東京問題の課題
白血病の最末期の患者さんを受け持ち、初めの三日はほとんど寝ずに、生命に直結する〃感染″〃出血″のほか、〃不安″〃寝たきりであること〃など、数個の問題をあげて、それについてケアするプランをようやく立てたところに、患者さんが亡くなって……。
朝病棟に行ったら、患者さんはおらず、すでに片づけられたシーツの白さだけが、目に飛び込んできたあの時のことは、今も忘れられません。
苦しいなかでも学生に気を使ってくれた、優しい患者さんの人柄が思い出されて泣けたのはもちろんです。
でも、これからまたあの苦労を一からやるのかと思って泣けた部分があったのも、正直なところでした。
先ほどのように、重症の患者さんを持った時には、そのたいへんさは悲鳴をあげるほどですが、じゃあ、軽症の患者さんだったら楽かというと、それがまたたいへんな場合もあるのです。
別の内科病棟で実習した時の受け持ち患者さんは、足のけがから壊痘を起こしている、重い糖尿病の男性でした。
彼の場合、身のまわりのことはすべて自分でできるため、問題となるのは、本人の病識のなさ。
糖尿病の怖さを教え、食事制限の必要性を理解させるべく指導に当たったのですが、なにぶん能天気な人で、どうにも指導のしようがありませんでした。
パンフレットを作ったり、本を買っていったりして指導を試みるのですが、彼は自分に興味のある話しかしません。
彼の趣味は発明で、いずれ自分が義足になった時には、使いやすい義足を発明するんだ、と意気軒昂でした。
こちらとしては、いかに今の症状を悪化させず、義足にならないようにするかを話しているんですけど……。
義足に関心が集中している彼の気持ちを、糖尿病の自己管理に戻すことは、結局最後までできませんでした。
あの時の彼と私の会話ほど、記録に迷ったことはありません。
行なった援助を記録する欄には、延々、私が糖尿病について彼に語ったことが記されて実習といえば記録の思い出になるくらい、学生にとって記録はたいへんな存在です。
記録偏重の実習のあり方にはいろいろ批判もあり、どちらかといえば記録の量は減らされます。
ところが、それに対して書かれている彼の言葉は、すべて義足と過去の発明について。
「単位は八十キロカロリーで、これを単位交換の形で、一日の摂取カロリーを守るようにするのがいいと言われています」という私の言葉への彼の答えは、「てこの原理を応用して、動きが軽い義足が作れないかと思っています」これってもう、完全にすれ違ってますよねー。
彼に対して必死に指導したあのころは、遠い昔。
でも彼は、病気とつきあうひとつの方法を、教えてくれた気もします。
彼は確実に、病気を明るくとらえていました。
それがわかったのは、私が看護婦になってからのことですが。
れてきていますが、看護の世界全体では、看護の技と知識を共有するうえでも、書き残すことは大切だ、という気運はますます高まっています。
この先も、看護学生にとって、記録は実習のかなりの部分を占める存在ではありつづけるでしょう。
ただ、実習に占める記録の割合は大きくとも、それがすべてでないのもまた事実です。
記録はできなくても、本当に暖かい人間性から患者さんに好かれる学生もいれば、記録はできても、要領がいいだけで、けっして好かれない学生もいます。
今の教育のシステムだと、後者の学生のほうが評価されてしまい、これは実のところ、大きなジレンマのようにも見えます。
そんな評価基準にも、あらはあると思うのですが、今のシステムにどんなあらがあるかは、みんなでわかっておく必要がある気がします。
それにしても、看護婦になってわかったことは、四六時中学生につかれる患者さんもたいへんだったんだな、ということ。
もちろん、マンツーマンで相手をしてくれて、身体をくまなくきれいにしてくれてと、進んで受け持たれたい患者さんもいますが、具合が悪い時は放っておいてほしい人も、少なくないんですよね。
また、怖い、怖いと逃げまわっていた指導者の方たちも、自分たちの仕事の合間に、学生の記録を見て、世話をして…。
それはそれでたいへんなことだったんだなあと、今では思えるようになりました。
実際、指導者として怖かった人が、看護婦同士になると、とてもおもしろくていい人だったこともしばしば。
学生から見て、看護婦が怖いからと、就職を避ける必要は必ずしもなさそうです。
実にいろんな人からお世話になって、看護婦は一人前になっていきます。
そのことを忘れず、長く働いて、後輩にもそれを返してあげようと思うこと。
疲れている時にもそうしろと言えるほど私自身立派じゃありませんが、頭の隅にはそんな気持ちを、持っていたいなと思うのです。
このような変化がかなり進んでも、看護学生はその他の学校の学生に比べると、まだま看護学校の授業はおもしろい! しっかり身につく知識と技術看護学生時代を振り返ってまず思うのは、とにかく慌ただしく盛りだくさんな三年間だったなぁ、ということです。
とかくその忙しさ・たいへんさが話題になる看護の現場ですが、それに耐えられるのは、あの看護学校の三年間を経てきているからなんだろうと、妙に納得してしまうのです。
最近では、大学や短大が増え、実習時間が減るとともに、看護専門学校に比べると、ゆとりのある学生生活を楽しむ人が増えているようです。
また、看護専門学校でも、ゆとりの重視から、これに似た変更もいろいろと行なわれています。
だ過密なカリキュラムに追われ、余裕のない学生生活を送っていることには変わりないと思うのです。
誤解を恐れずに言えば、一般の大学生と看護学生の一番の違いは、一般の大学生が社会人になってから時間の自由を失うのに対して、看護学生は、むしろ社会人になってからのほうが時間の自由が持てることではないかと思います。
もちろん、看護婦という専門職においては、絶え間ない学習は欠かせません。
緊張感ある職場に慣れるまでは、かなり苦しい時期もある。
それでも、就職して半年もたち、職場に慣れるころには、少なくとも実習期間中よりも余裕を持って、オフの時間を楽しんでいたように思います。
もちろん、これは出身校や、配属される職場によっても、感じ方は違うでしょうが。
しかし、少なくとも看護学生の場合、あまりに気ままな学生時代を過ごしたがために、社会生活に適応できない、なんてことは、起こりえない気がします。
授業期間は、予習復習に追われ、実習期間は記録に追われ、の看護学生の生活。
それこそ看護学校に入るまでは、その時代なりに〃今日びの高校生″〃今日びの若者″だった人間が、なぜそんな生活に適応できるのか、そっちのほうが不思議ではありますよね。
私にしたって、気ままなバイト狂いの大学生だったのが、いざ看護学生になったら、本私が看護学校に入ってまず感じたことは、とにかく、この学校を出れば看護婦として働けるんだ、という厳粛な事実でした。
(今では、病院不況による人員の削減や、看護婦の志望者の増加などの要因から、看護学校を出て国家試験に受かっても、希望どおりに就職できない人も出てきているそうですが。
現場はけっして人が足りている状況とはいえないのに、看護婦の就職難なんて…。
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